笑顔のさくらを咲かせ続けたい

NPO法人さくらっこエール

「NPO法人に興味がある」、「社会起業を考えている」…けれど不安や迷いもいっぱい…。そんな方々の不安や迷いを少しでも解消するためにNPO法人を運営している方々にインタビューを行い、生きた言葉を掲載していきます。これからNPO法人を立ち上げようと考えている方々に石川県金沢市よりエールをお届けいたします!前回に引き続き、NPO法人子育て支援さくらっこの布施さんとの対談です。

>>前半のインタビュー記事はこちらから

【団体概要】
団体名:NPO法人子育て支援さくらっこ
事業開始年月:2011年6月
所在地:石川県金沢市
代表者:布施安子
URL: http://www.kosodate-sakurakko.com/
事業目的: 地域や家庭における子育て支援事業を行い、安全で健やかな子どもの育成に寄与することを目的とする。

【インタビュー実施日:2015年1月】
聞き手:ひがし行政書士事務所 代表 東 真稔(ひがし・まさとし)
話し手:NPO法人 子育て支援さくらっこ 代表 布施安子(ふせ・やすこ)さん

■ 公共機関と市民団体の協働事業例として全国から注目

東)ここ最近、ある場所でさくらっこは注目されているそうですね?
布)金沢市にある21世紀美術館でやっている託児ルームですね。この美術館は今年で10周年を迎えますが、公立の美術館や博物館が常設で設けている託児施設はほかにあまりないということで、全国から視察にいらっしゃいます。

東)それはすごいことですね。
布)私たちは当たり前と思ってやってきましたけど、視察に来られたみなさんは公共機関に常設でNPO法人のような市民団体が入っていることがすばらしいと言われますよ。

東)公共施設と市民団体という組み合わせが画期的だということでしょうか。
布)ええ。美術館の設計段階から託児ルームの構想があった金沢市にも先見の明がありましたが、金沢市にしっかりとした市民団体が育っていて双方が協働しているのが素晴らしいと言われます。都議会のみなさんが視察に来られた時も、「自分たちも地元でやってみたいが残念なことに市民団体が育っていないからできない」とおっしゃっていました。

東)自治体によって市民団体との関係も温度差があると思いますから一概には言えませんが、金沢はうまくいっているほうなんですね。
布)そうみたいです。確かに託児ルームを運営するのがNPO法人でなければ、今と状況はかなり変わっていたと思います。私たちさくらっこが市民団体であるがゆえに、美術館や市民、市民や行政の架け橋になっている。改めてそう感じましたね。

東)現代美術の空間に託児施設があるというのが、またユニークですよね。
布)そうですね。美術館に来る人は年齢や性別もバラバラですが、託児ルームの存在を通じて、さまざまな世代が関係して保育を見守ってくれています。こうした世代間の交流が生まれたのも、託児ルームがなければできなかったことじゃないでしょうか。

東)注目されている実感はありますか?
布)ええ。自分たちの活動の場が注目されていることは素直にうれしいです。昨年だったと思いますが、若い女性向けの雑誌が金沢で行きたいところNo.1に21世紀美術館が選ばれて、美術館が大きく取材されたこともありました。きっかけは何でもいいので、多くの方に子育て支援の活動を知ってもらいたいと思います。

■“今、誰かがやらなければならない”という危機感

東)今更なんですが(笑)、さくらっこっていう名前は桜の花が由来ですよね?
布)はい。寒さ厳しい冬を越えて、桜の花の咲く金沢の街って、本当に美しいと思いませんか? さくらの花のように、キラキラ輝くような笑顔を持つ子どもたちを、金沢の地で長く見守っていきたい、そしてその子どもたちがまた金沢で花を咲かせて、美しい金沢を次世代に引き継いで行ってほしいというのが私たちの願いです。

東)最近の子育ての環境は、実際どうなんでしょう。
布)ひとことで言えば、厳しいものがあると思います。もともと子育てというのはプライベートなことなので外からは見えにくいし、干渉もしにくい。加えて子育て中は社会と隔絶されてしまうことも多いため、問題が表面化した時にはすでに手遅れといったこともある。最近は格差社会と言われるように、経済的な問題が関係してくるのも避けられません。

東)そういった子育てを支援するために、布施さんが今一番大切だと思っていることは何ですか?
布)子育て世代に寄り添うような、社会全体で子育てを見守るシステムが必要だと思っています。特に「家庭」、「行政機関」、「地域支援」の3つがそれぞれの良さを活かして連携していくのが大切。その地域支援のひとつとして“さくらっこ”が機能していけばいいと思っています。

東)布施さんをそこまで子育て支援にかりたてるものって、何でしょうか。
布)いろいろと思うところはありますが・・・私は子どもの笑顔が大好きですし、子育てを支援するのはすでに生き甲斐です。それにやはり、今誰かがやらなくては・・・という危機感が強いです。昨年、“消滅可能性都市”の発表がありましたが、東さんご存知ですか?

東)国の人口減少問題に取り組んでいる機関が発表したものですよね?
布)ええ。発表では子どもを産む中心となる20〜30代の女性たちが、今後30年間の間に5割以上減る自治体を“消滅可能性都市”と定義していますが、石川県も9つの市町村が挙げられました。金沢市はそこに入りませんでしたが、子どもが減っているのは事実であって、楽観視はできません。

東)自治体にとっても、この地域に住んでいる私たちひとりひとりにとっても切実な問題ですね。
布)少子化や人口減少の問題は、日本全体の大きな流れであって私たちにできることは限られるかもしれないけれど、他人事としてただぼーっと見ているだけでは何も変わりません。人口が減っていく中でも私たちができることはしていきたいし、結婚とか、子育てを阻害している要因があれば取り除いてあげたい。30年後なんて私たちはもういないかもしれないけど、金沢は持続可能な都市であってほしいと心から思うんです。

東)私も、本当にそうであってほしいと思います。今日は布施さんの熱い想いをお聞きして、私もひとりの親として揺すぶられるような気持ちになりました。貴重なお話をありがとうございました。
布)こちらこそ、ありがとうございました。

【〜社会起業を志している後輩たちにメッセージ〜】

最後に布施さんから皆さんへメッセージを下さいました!

 

これからは人口も減るし、NPO法人も行政と協働していくモデルが多くなってくると思いますが、行政の支援をあてにしていても事業はうまくいきません。“こっちはお願いするけどあっちはできる”といった協働モデルを提示して、互いに循環できる仕組みを作ることが大切です。そして、NPO法人であれ、企業であれ、社団であれ、事業であげた収益は社会に還元していくことも忘れないでほしいですね。
でも、そういった細かいことより、今あなたが社会の問題をキャッチして、目の前に必要とされている場があるのなら、ぜひ行動して問題解決にチャレンジしてほしいと思います。この年齢になって改めて思いますが、自分の命やお金、資源や環境なんかもすべて有限。今は当然のようにあっても、いつまでもあるものではない、すべて限られたものなんですよ。だから、本当にやりたいことがあれば自分を信じてやってみる。とにかく後悔だけはしないようにしてください。

【ウェブサイト「NPOエール」とは】

「NPO法人に興味がある」、「NPO法人の立ち上げを考えている」…など、NPO法人に興味を持っている方々の不安や迷いを解消しようと、石川県のひがし行政書士事務所代表、東真稔が立ち上げたウェブコンテンツ。実際にNPO法人を運営している方々にインタビューした生きた言葉を掲載し、これからNPO法人を立ち上げようと考えている方々にエールを届けることを目的としている。